2025年10月26日
- 認知行動療法
気持ちを切り替えられない方へのカウンセリング/認知行動療法カウンセリングセンター山口店
「頭では分かっているのに、気持ちが切り替えられない」
「もう終わったことなのに、ずっと考えてしまう」
そんな経験をされる方も少なくありません。
仕事や人間関係などの出来事をきっかけに、気持ちの整理に戸惑うことは誰にでも起こり得ます。
こんにちは。認知行動療法カウンセリングセンター山口店です。
本日のテーマは、「気持ちを切り替えられないときの考え方とカウンセリングでできること」についてです。
1.「切り替えられない」のは意志が弱いからではない
「こんなことで落ち込むなんて」「もう忘れたいのに」――
そう自分に言い聞かせても、なかなか気持ちは言うことを聞いてくれません。
実は、人の感情というのは“自然に変化するもの”です。
無理に抑え込もうとすると、かえって意識がその感情に引き戻されてしまいます。
たとえば「思い出してはいけない」と言われるほど、余計に思い出してしまうように、
「忘れよう」「切り替えよう」と強く思うほど、感情は逆に強く浮かび上がってきます。
これは脳の仕組み上、とても自然な反応です。
つまり、「切り替えられない自分」がダメなのではなく、人としてごく普通の心の働きなのです。
2.感情は“波”のようなもの
怒り、後悔、悲しみ、焦り――。
どんな感情も、最初は強くても時間とともにゆるやかに変化していきます。
感情は「なまもの」と言われることもあり、長くそのままにとどまることはありません。
カウンセリングの中では、「感情の波を無理に止めるのではなく、波が静まるのを待つ」という考え方を大切にします。
一度高ぶった気持ちは、しばらくすれば自然に落ち着いていきます。
その時間を「ムダな時間」と感じる方もいますが、実は心が回復していくための大切な時間でもあります。
3.気持ちを切り替えることを難しくしている“思考のクセ”
気持ちが切り替わらない背景には、しばしば「思考のクセ」が関係しています。
認知行動療法では、こうした“自分の考え方のパターン”を整理し、心との向き合い方を見直していきます。
代表的な例を挙げてみましょう。
- 「あんなことを言うなんて、私はダメだ」
→ 自分の価値を全体で否定してしまう考え方。 - 「うまくやれなかった。次もうまくいかないに違いない」
→ 未来を一つの結果で決めつけてしまう思考。 - 「考えておかないと同じ失敗をする」
→ 反省と反芻(同じことを何度も考える)の境界があいまいな状態。
こうした考え方は、頭の中をぐるぐると巡らせてしまい、
結果的に「切り替えられない」状態を長引かせてしまいます。
4.認知行動療法で行う“心の整理”とは
認知行動療法(CBT)では、「考え方(認知)」と「行動」そして「感情」の関係を整理し、
自分の内側で何が起きているのかを見つめ直します。
カウンセリングでは、次のようなステップを踏むことが多いです。
ステップ1:状況の整理
いつ、どんな場面で気持ちが乱れたのかを具体的に言葉にします。
「怒られた」「失敗した」などの“出来事”と、「恥ずかしい」「怖い」などの“感情”を区別して整理します。
ステップ2:考え方の確認
そのとき頭に浮かんだ考え(例:「もう信頼を失った」「終わりだ」など)を書き出します。
その考えがどれくらい根拠のあるものなのかを、一緒に検討していきます。
ステップ3:別の見方を探す
「そう感じるのも無理はないけど、別の可能性もあるかもしれない」といった柔らかい視点を見つけます。
このとき、「無理にポジティブに考える」必要はありません。
現実的で、少し楽になる考え方を一緒に探していくのです。
ステップ4:行動のリズムを整える
気持ちの波に合わせて、「できる範囲で体を動かす」「小さな行動から再開する」など、
行動面での工夫を取り入れていきます。
感情の変化は、思考の整理と行動の積み重ねによって、少しずつ生まれていきます。
5.「無理に忘れよう」としないことが大切
カウンセリングの現場でもよく出てくるテーマが、「忘れたいのに忘れられない」という悩みです。
しかし、実際には「忘れよう」と強く意識するほど、心はその出来事に再び焦点を当ててしまいます。
たとえば、「シロクマのことを考えないでください」と言われたら、
多くの人はすぐにシロクマを思い浮かべてしまうでしょう。
つまり、「考えないようにする」ほど、逆にその考えが浮かんでしまうのです。
忘れようとするのではなく、「思い出してしまうのも自然なこと」と受け止め、
そのまま流していく方が結果的に早く落ち着くことが多いです。
6.「切り替える」とは、“気持ちを変えること”ではなく“向き合い方を変えること”
多くの方が、「気持ちを切り替える=嫌な気持ちを消す」と考えてしまいます。
けれども、認知行動療法でいう「切り替え」とは、感情を消すことではなく、感情とどう付き合うかを変えることです。
- 落ち込んでいる自分を責めるのではなく、「今は疲れているだけかもしれない」と認める。
- 「また思い出してしまった」ではなく、「思い出すほど大切な出来事だったのかも」と捉える。
- 「まだ切り替えられない」ではなく、「今は切り替え途中なんだ」と考えてみる。
こうした少しの言葉の違いが、気持ちの回復に大きく影響します。
気持ちを“動かす”のではなく、“動くまで待つ”――それが本当の意味での「切り替え」です。
7.カウンセリングでできるサポート
山口店では、気持ちの切り替えが難しい方に対して、
「考え方の整理」や「感情の扱い方」を一緒に練習するカウンセリングを行っています。
カウンセリングの中では、
- 感情を無理に抑えず、安心して話せる環境で言葉にする
- 思考・感情・行動のつながりを図で整理する
- 自分に合った“リセット方法”を見つける(書く・動く・話すなど)
といったステップを丁寧に進めていきます。
「自分を責めてしまう」「同じことを何度も考えてしまう」という方でも、
焦らず、少しずつ気持ちを整えていくことができます。
8.気持ちを切り替える練習のヒント
- いまの気持ちに名前をつける
「悔しい」「悲しい」「焦っている」など、言葉にすることで整理されやすくなります。 - 気持ちを点数で表す
いまの気持ちを10段階で表すと、「前より少し下がってきた」と変化に気づけます。 - 考えをノートに書き出す
頭の中を“外に出す”ことで、客観的に見られるようになります。 - 切り替えの合図を作る
深呼吸、ストレッチ、外の空気を吸う、好きな音楽を聴く――
心を少しだけ「今」に戻す行動をルール化しておくのも有効です。
💬 よくあるご質問(Q&A)
Q1. どれくらいで気持ちを切り替えられるようになりますか?
A. 人によって異なりますが、「すぐに切り替えようとしないこと」が結果的に早い回復につながる場合があります。
焦らず、自分のペースで感情の波を見守ることが大切です。
Q2. カウンセリングではどんなことを話すのですか?
A. 無理にポジティブになろうとするのではなく、「今の気持ちをどう受け止めるか」を一緒に整理します。
日常の中でできる練習法もご紹介しています。
Q3. ネガティブな感情ばかり話しても大丈夫ですか?
A. もちろん大丈夫です。
カウンセリングは「感情を整理する場所」であり、「元気にふるまう場所」ではありません。
安心してお話しいただけるよう、プライバシーにも十分に配慮しています。
9.さいごに
気持ちを切り替えることは、意志や根性の問題ではありません。
それは、心が一生懸命に「整理しよう」としている証拠でもあります。
うまくいかない日があっても、感情は必ず少しずつ変化していきます。
もし「自分ではもう整理できない」「考えすぎて苦しい」と感じたときは、
一人で抱えず、カウンセリングで一緒に心の整理をしてみてください。
🏠 認知行動療法カウンセリングセンター山口店
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