2024年12月03日
- 認知行動療法
母子分離不安への認知行動療法カウンセリング

こんにちは。認知行動療法カウンセリングセンター山口店のスタッフです。本日は、「母子分離不安」というテーマについて、その実態や効果的な対応方法をご紹介します。この課題に悩む親御さんが少しでも安心し、一歩踏み出せるお手伝いができればと思います。
母子分離不安とは?
母子分離不安とは、子どもが親や身近な人と離れることに対して強い不安を感じる状態を指します。幼少期に自然に見られるものから、日常生活に支障をきたすケースまで幅広いです。特に後者の場合、適切な支援が求められます。
子どもに見られる主な行動
- 親が視界から消えると泣き叫ぶ、探し回る
- 一人で学校に行くことを拒む
- 親の外出に強い不安を抱く
- 夜、親がいないと眠れない
これらの行動は、子どもが「安全」を確保しようとする自然な反応ですが、放置すると親子双方に大きな負担がかかることもあります。
母子分離不安の原因
母子分離不安の背景には、さまざまな要因が考えられます。
1. 生物学的・遺伝的要因
不安を感じやすい気質や遺伝的な影響がある場合があります。
2. 喪失体験
離婚、引っ越し、親しい人の死別など、大きな環境変化がトリガーとなることがあります。
3. 育児方針や家庭環境
過保護や過干渉、または子どもが安心感を得にくい家庭環境も影響します。
これらが複合的に絡み合い、不安を増大させることがあります。
子どもの不安を和らげるために
子どもが不安を感じるのは自然なことです。この不安にどのように寄り添い、サポートするかが大切です。
安心感を与える
子どもが不安を訴えたときには、まず安心させることが重要です。例えば、
- 「大丈夫だよ、ママは必ず戻ってくるからね」
- 子どもが安心できる環境を整え、親がそばにいる時間を確保する
自立心を育む
同時に、不安に少しずつ向き合う力を育てることも大切です。
- 短時間の分離を試みる
- 「5分だけ一人で待てたね!すごいね」と成功を褒める
- 徐々に分離の時間を延ばしていく
こうした小さなステップを積み重ねることで、子どもは「一人でも大丈夫かも」と感じられるようになります。
母子分離不安への認知行動療法(CBT)の活用
認知行動療法(CBT)は、母子分離不安に対して有効なアプローチです。当センターで行う主な流れをご紹介します。
1. 現状の把握
まず、家庭の中で「一人で過ごせている瞬間」を探します。例えば、
- トイレに行く間、一人で待てた
- おもちゃで一人で遊んでいた
こうした場面を見つけ、成功体験として認めてあげます。
例:「さっき、1分間も一人で待てたね!すごいよ!」と具体的に褒める。
2. 目標設定
子ども自身に「次はどうしたい?」と目標を聞き、達成感を感じられる段階的な目標を設定します。
3. 少しずつ挑戦する
無理のない範囲で、一人で過ごす時間を徐々に延ばしていきます。例えば、最初は5分、次に10分といった形で進めます。
4. 失敗も含めて認める
一人で過ごすことが難しかった場合も、「ここまで頑張ったね!」と前向きに評価します。失敗を否定せず、少しずつ自信を積み重ねることが重要です。
親御さんへのアドバイス
母子分離不安は親子関係の中でよくある課題ですが、親御さん自身が不安を抱えることも多いものです。以下のポイントを心がけてみてください。
1. 焦らない
分離不安は急に解決するものではありません。子どものペースを尊重し、小さな成功体験を積み重ねることを目指しましょう。
2. 親もリラックスする
親が緊張していると、子どもにもその不安が伝わります。適度にリフレッシュする時間を持ち、心の余裕を保ちましょう。
3. 周囲のサポートを活用する
一人で悩まず、家族や専門機関の力を借りることも大切です。
まとめ
母子分離不安は、親子双方にとって試練でありながら、成長の機会でもあります。当センターでは、親子のペースを大切にしながら、不安を安心に変えるお手伝いをしています。
「うちの子、大丈夫かな?」とお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。一緒に、新たな一歩を踏み出しましょう。
認知行動療法カウンセリングセンター山口店
https://yamaguchi.cbt-mental.co.jp/
——代表プロフィール——
岡村優希
株式会社CBTメンタルサポート 代表取締役
認知行動療法カウンセリングセンター代表
公認心理師、臨床心理士、認定行動療法士
個人事業主として私設カウンセリングルームの運営を経て、株式会社CBTメンタルサポートを創業し、メンタルヘルス支援者向けのサービス事業を展開している。主宰しているオンラインコミュニティ『認知行動療法の学校』の会員数は約400名。
さらに、カウンセリングルームを全国に5店舗運営しており、全国展開を目指している。
◆執筆書籍
「臨床心理学 〈123(第21巻第3号)〉 問いからはじまる面接構造論 「枠」と「設定」へのまなざし」金剛出版
「遠隔心理支援スキルガイド」 誠信書房
◆テレビ出演
読売テレビ「かんさい情報ネットten.」2024年7月4日
「あなたの味方!お役に立ちます」のコーナーに高所恐怖克服のための専門家として出演
◆雑誌掲載
「からだにいいこと」 2022年12月号、2023年2月号
◆近年の講演実績
2024年2月21日
広島大学医学部にて「セルフケアに役立つ認知行動療法入門」についての講師
2023年2月9日
NTT PARAVITA株式会社にて「認知行動療法」をテーマとした社内研修の講師
2022年7月6日
筑波大学医学医療系精神医学の勉強会で「パニック症の認知行動療法」についての講師
その他、学会発表多数
