2025年12月28日
- 認知行動療法
社交不安へのカウンセリング/認知行動療法カウンセリングセンター山口店
こんにちは。
認知行動療法カウンセリングセンター山口店です。
今日のテーマは、「社交不安」についてです。
社交不安というと、
「人前で緊張してしまう」
「あがり症」
といったイメージを持たれやすいかもしれません。
ただ、実際にご相談をお受けしていると、つらさを大きくしているのは、良い自分でいようと力を入れ続けている状態であることが少なくありません。
この記事では、
- なぜ社交不安が長引きやすくなるのか
- 楽になる方向はどこにあるのか
- 認知行動療法のカウンセリングでは何を整理していくのか
を、できるだけ現実的な言葉で整理していきます。
「ちゃんとした自分」でいなければならない苦しさ
社交不安のある方は、人と関わる場面で、次のような前提を強く持っていることがあります。
- 変に思われてはいけない
- つまらない人だと思われたくない
- 空気を悪くしてはいけない
- きちんと話さなければならない
その結果、会話中ずっと、
「今の発言は大丈夫だったか」
「相手はどう感じただろう」
「次は何を言えばいいか」
と、頭をフル回転させ続けることになります。
これは、会話というより
評価される場に立ち続けている状態に近く、
強い疲れを伴います。
「自信をつけよう」がしんどくなる理由
社交不安について、
「自信を持てば楽になりますよ」
「前向きに考えましょう」
と言われた経験のある方も少なくないかもしれません。
ただ、これが負担になることもあります。
理由は、「良い自分でいなければならない」という基準が変わらないままだからです。
自信を持とうとするほど、「うまくできていない点」に目が向き、結果として、緊張や自己チェックが増えてしまうことがあります。
楽になるきっかけは「諦め」かもしれません
社交不安がやわらぐきっかけは、もっと頑張ることではなく、ある種の諦めであることがあります。
それは、
「ろくでもなくて、つまらない自分かもしれないけど、
まあ、それならそれで今日はいいか」
と、力を抜くことです。
これは投げやりになることではありません。
良く見せ続ける努力をやめるという選択です。
「良く見せるのをやめる」と起きる変化
力を入れすぎるのをやめると、次のような変化が起こることがあります。
- 言葉を選びすぎなくなる
- 沈黙を無理に埋めなくなる
- 声や表情が自然になる
- 会話後の反省が短くなる
その結果、
「思っていたほど問題は起きなかった」
「案外、普通に終わった」
という体験が増えていきます。
これは自信がついたからではなく、背負いすぎていた役割を降ろした結果です。
認知行動療法のカウンセリングでは、何を整理するのか
ここまで読んで、
「考え方を変えなきゃいけないの?」
「前向きにならないといけないの?」
と感じた方もいるかもしれません。
認知行動療法のカウンセリングで行うのは、前向きにすることでも、性格を変えることでもありません。
主に扱うのは、次のような点です。
① どんな場面で、どれくらい力が入っているか
- 会議
- 雑談
- 初対面
- 上司・目上の人
など、場面ごとに要求している「ちゃんとさ」の水準を整理します。
② 「100点を取ろうとしている場面」を見つける
多くの場合、本来60点で十分な場面でも、自分に100点を求めています。
そのズレを、具体的な行動レベルで確認します。
③ 頑張りすぎない選択肢を一緒に考える
- 話さなくてもよい場面
- 無理に盛り上げなくてよい場面
- 反応が遅くても問題ない場面
など、現実的に負担を下げる関わり方を整理していきます。
「どう考えるか」よりも、「どう関わっているか」「どこで力を入れすぎているか」を扱うのが特徴です。
「60点で終わらせる」という考え方
社交不安の方にお伝えすることのある視点があります。
会話を100点で終わらせようとしなくていい。60点で十分
- 好かれなくてもいい
- 面白くなくてもいい
- 気の利いたことを言えなくてもいい
最低限の礼儀が保たれ、大きなトラブルが起きなければ十分です。
基準を下げるだけで、対人場面の負担は大きく変わります。
絶望と解放の分かれ目
「もう無理だ」
「自分は大した人間じゃない」
この言葉は、絶望にも、解放にもつながります。
分かれ目は、まだ戦い続けているか、それとも降りているか。
- 絶望:自分の評価に意識が向き続ける
- 解放:現実をどう扱うかに意識が向く
社交不安でも、「面白くない自分でも、会議は終わるし仕事は続く」と現実に着地できたとき、対人場面の重さは大きく変わります。
Q&A(よくあるご質問)
Q1.社交不安はなくさなければいけませんか?
A.なくすことを目標にしなくても、負担のかかり方を変えることで日常はかなり楽になります。
Q2.話す練習をたくさんしますか?
A.必要な場合もありますが、まずは「頑張りすぎている場面」を整理することを重視します。
Q3.オンラインでも相談できますか?
A.はい。全国対応のオンラインカウンセリングをご利用いただけます。
店舗のご案内
■ 認知行動療法カウンセリングセンター山口店
社交不安に関するご相談は、
認知行動療法の視点をもとに、日常場面での負担を整理するカウンセリングとしてお受けしています。
「性格を変える」「前向きになる」ことを目標にするのではなく、
どこで力を入れすぎているか/現実的に下げられる負担はどこかを一緒に整理していく関わりです。
住所
〒753-0055
山口県山口市今井町4-10 山根ビル201号室
(JR湯田温泉駅 徒歩1分)
営業時間
10:00〜20:00(完全予約制)
WEBサイト
https://yamaguchi.cbt-mental.co.jp/
LINE(相談・ご予約)
https://lin.ee/26sKHRK8
お申込フォーム
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSelm3nMBwOyvwnkhrkihe-APBzNTll2NL4fsPB6b6hHMzC8GA/viewform
※オンラインカウンセリングにも対応しています。
おわりに
社交不安がつらいのは、あなたが弱いからでも、能力が低いからでもありません。
ちゃんとしよう、良く見せようと、やりすぎてきただけかもしれません。
「今日は60点で終わらせよう」
そのくらいの諦めが、結果的に一番楽になることもあります。