MENU

こんにちは、認知行動療法カウンセリングセンター山口店です。今回は、うつ病に苦しんでいる方々にとって非常に有効なツールである「生活記録表」の活用方法とその効果についてご紹介します。

うつ病は、心のエネルギーが低下し、日常生活における楽しみや活力を失うことが特徴の病気です。しかし、医療機関での治療やか相談機関でのカウンセリングと適切な自己管理を通じて症状を軽減することが可能です。生活記録表は、その過程で重要な役割を果たすシンプルで効果的な方法です。日々の行動や感情、体調の変化を記録することで、うつ病の改善に向けた重要な気づきを得ることができます。

それでは、生活記録表の具体的な役割や活用法について詳しく見ていきましょう。


生活記録表とは?

生活記録表とは、毎日の活動、気分、食事、睡眠、体調、ストレスレベルなどを詳細に記録するツールです。特にうつ病の方にとって、自分の生活パターンを把握することは、症状の進行や悪化の要因を理解し、対策を立てるための重要な手段となります。

以下の項目が主に生活記録表に含まれることが多いです:

これらを日々記録することで、自分自身の健康状態を視覚的に確認できるため、改善の進行状況をより客観的に把握できるようになります。


生活記録表の活用によるメリット

1. 自己理解と自己管理の向上

うつ病を抱えていると、自分の気分や行動がどのように変化しているのかを正確に把握するのが難しい場合があります。生活記録表を使うことで、日々の生活の中でどのような出来事が気分の変動に影響を与えているのかが明らかになります。例えば、特定の活動がストレスを引き起こしているのか、あるいは気分を良くしているのかを確認できるようになります。これにより、自己管理の意識が高まり、うつ病のコントロールがしやすくなります。

2. うつ症状の早期兆候を捉える

うつ病は、時に波のように気分が変動する病気です。突然の気分の低下を経験する前に、生活記録表で変化を捉えることができます。たとえば、睡眠の質が落ちたり、食欲が減退したりすることで、その後の気分の落ち込みを予測できる場合があります。このように、悪化の兆候を事前に察知し、必要な対策を早期に講じることが可能です。

3. 支援者とのコミュニケーションがスムーズに

うつ病の改善において、医師やカウンセラーとの正確な情報共有が重要ですが、自分の状態を言葉でうまく表現できないこともあります。生活記録表は、日々のデータをもとに症状や気分の変化を具体的に示すため、医師やカウンセラーとのコミュニケーションが円滑になります。これにより、適切な介入方針を立てるための貴重な資料として活用できます。

4. 行動活性化による改善促進

うつ病の改善法の一つに、行動活性化があります。これは、無気力や抑うつ状態に対処するために、計画的に活動を増やしていく改善法です。生活記録表に日々の活動を記録することで、どれだけの行動を行ったかが一目でわかるため、少しずつ活動を増やす過程を視覚的に確認することができます。行動活性化の目標を設定し、達成感を感じながら進めることができるのです。


生活記録表の使い方

1. 日々の記録を継続する

生活記録表の効果を最大限に引き出すためには、毎日記録をつけ続けることが重要です。短期間だけでなく、長期間にわたる記録を通じて、生活や気分のパターンを把握することができます。また、記録の積み重ねによって改善の進行状況や、薬がどのように効果を発揮しているかを客観的に確認することができます。

2. 簡単に記録できるフォーマットを使う

記録をつけること自体が負担になると、続けることが難しくなります。そこで、シンプルなフォーマットやアプリを活用することをお勧めします。記入項目を必要最低限に抑え、日々の生活を振り返る時間を短くすることで、負担を軽減しつつ効果的に記録を続けることができます。

3. ポジティブな出来事も記録する

うつ病に苦しんでいると、ネガティブな感情や出来事に注目しがちですが、生活記録表ではポジティブな行動や気分にも目を向けましょう。「友人と話せた」「少し散歩できた」など、どんなに小さなことでも、前向きな行動や変化を記録することで、自分の進展を実感し、自己肯定感を高めることができます。


まとめ

うつ病の改善には時間がかかる場合がありますが、生活記録表を使うことで、自分自身の生活や感情の変化を客観的に把握し、改善を進めることが可能です。日々の生活パターンを可視化し、気分や行動に対する理解を深めることで、うつ病の症状をコントロールしやすくなります。

山口店では、うつ病に対する認知行動療法の一環として、生活記録表の使用方法やその活用方法についてのサポートを行っています。ご興味がある方や、うつ病に関してお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。あなたに合った最適なサポートを提供いたします。

認知行動療法カウンセリングセンター山口店

https://yamaguchi.cbt-mental.co.jp/

生活記録表作成補助ツール

https://community.camp-fire.jp/projects/590151/activities/567008

——筆者情報——

岡村優希

株式会社CBTメンタルサポート 代表取締役

認知行動療法カウンセリングセンター代表

公認心理師、臨床心理士、認定行動療法士

個人事業主として私設カウンセリングルームの運営を経て、株式会社CBTメンタルサポートを創業し、メンタルヘルス支援者向けのサービス事業を展開している。主宰しているオンラインコミュニティ『認知行動療法の学校』の会員数は約400名。

さらに、カウンセリングルームを全国に5店舗運営しており、全国展開を目指している。

◆執筆書籍

「臨床心理学 〈123(第21巻第3号)〉 問いからはじまる面接構造論 「枠」と「設定」へのまなざし」金剛出版

「遠隔心理支援スキルガイド」 誠信書房

◆テレビ出演

読売テレビ「かんさい情報ネットten.」2024年7月4日

「あなたの味方!お役に立ちます」のコーナーに高所恐怖克服のための専門家として出演

◆雑誌掲載

「からだにいいこと」 2022年12月号、2023年2月号

◆近年の講演実績

2024年2月21日

広島大学医学部にて「セルフケアに役立つ認知行動療法入門」についての講師

2023年2月9日

NTT PARAVITA株式会社にて「認知行動療法」をテーマとした社内研修の講師

2022年7月6日

筑波大学医学医療系精神医学の勉強会で「パニック症の認知行動療法」についての講師

その他、学会発表多数

一覧に戻る