2024年10月16日
- 認知行動療法
パニック障害(パニック症)改善のための認知行動療法カウンセリング
こんにちは、認知行動療法カウンセリングセンター山口店の岡村です。今回は、「パニック症状の理解と改善方法」について詳しくご紹介します。近年、「パニック症」という表現が使われることが増えていますが、従来の「パニック障害」という言葉も依然として広く使われています。本記事では、どちらの表現も用いながら解説を進めていきます。
パニック症とは?
パニック症とは、突如として強い不安や恐怖が襲い、コントロールできないパニック発作を繰り返す状態を指します。発作は通常、10分以内にピークに達し、心臓の動悸や息苦しさ、めまい、発汗、震え、吐き気といった身体的症状が伴います。これらの症状は非常に強烈で、発作を経験した人は「このまま死んでしまうのではないか」「心臓に異常があるのではないか」と感じることが多いです。
パニック発作は、特定の状況や場所とは無関係に、どんな場所でも突然起こり得ます。そのため、発作を経験した人は次の発作がいつどこで起きるかという恐怖に常に悩まされ、日常生活に大きな影響を及ぼすことがあります。
パニック症の特徴
パニック症は、以下の2つの特徴が見られることが多いです。
- 再発に対する強い不安(予期不安)
一度パニック発作を経験すると、「次はいつ発作が起こるのか?」と常に不安を抱くようになります。この「予期不安」は、次の発作に備えて常に緊張状態が続くため、生活の質を著しく低下させる要因となります。 - 回避行動の増加
発作を経験した場所や状況を避けるために、特定の場所や活動を避けるようになります。たとえば、発作が起きた電車にもう二度と乗らなくなったり、混雑した場所を避けたりすることがあります。これにより、生活範囲が徐々に狭まり、仕事やプライベートでの行動に支障をきたすことも少なくありません。
認知行動療法(CBT)による改善方法
パニック症の改善方法として有効性が高いとされているのが、**認知行動療法(CBT)**です。CBTは、考え方(認知)と行動のパターンを見直し、症状の改善を目指す心理療法です。特にパニック症では、発作を引き起こす不安の原因となる考え方や行動を特定し、それを変えていくことが目指されます。
自分の思考パターンを理解する
まず、自分のパニック発作がどのような状況で起こり、どのような考えが浮かぶのかを理解することが大切です。たとえば、「もしこのまま息ができなくなったらどうしよう」という考えが頭に浮かび、それがさらなる不安を引き起こすことがあります。これらの考え方を整理し、発作がどのようにして悪化していくのかを明確にすることが重要です。
行動療法による段階的な改善
次に、行動療法を通じて、発作を恐れることなく生活できるように段階的に行動を変えていきます。たとえば、発作を恐れて電車に乗れなくなった人に対して、最初は短い時間だけ電車に乗る練習をします。徐々に時間を延ばしていくことで、恐怖心を少しずつ克服し、最終的には通常通り電車に乗れるようになることを目指します。
この方法を**エクスポージャー療法(曝露療法)**と呼びます。エクスポージャー療法は、恐怖を感じる状況に徐々に慣れることで、不安を和らげ、回避行動を減らす効果があります。
リラクゼーション技法と呼吸法
パニック発作が起きると、体が過度に緊張状態に陥ることがあります。そこで、リラクゼーション技法や深呼吸法を用いて、発作中の体の反応をコントロールする方法を学ぶことが重要です。これにより、発作が起きた際でも冷静に対応でき、不安を悪化させることなく乗り越えることが可能になります。
回避行動を減らすためのステップ
パニック発作を恐れるあまり、特定の状況を避ける回避行動は一時的な安心感をもたらしますが、長期的には不安を強化し、症状を悪化させる原因となります。したがって、CBTでは回避行動を少しずつ減らし、発作に直面しても適切に対処できるように訓練していきます。
たとえば、混雑した場所を避けていた人が、最初は少人数の場所から少しずつ慣れていき、最終的には大勢の人が集まる場所でも安心して過ごせるようになることが目指されます。
成功体験を積み重ねることの重要性
パニック症の改善において、少しずつ成功体験を積み重ねることが非常に重要です。たとえば、「今日は電車に乗れた」「混雑した場所に行けた」といった小さな成功を自信に変えていくことで、自己効力感が高まり、不安に立ち向かう力が養われます。
CBTでは、このような成功体験を積み重ねながら、症状の改善を目指します。
まとめ
パニック症は、突然の発作によって日常生活に大きな影響を与える疾患ですが、適切なカウンセリングを受けることで、症状をコントロールし、より豊かな生活を送ることが可能です。認知行動療法カウンセリングセンター山口店では、パニック症の改善を目指す個別カウンセリングを提供しています。お悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
専門のカウンセラーが、あなたに合った具体的な改善プランを提供し、安心して日常生活を送れるようサポートします。
認知行動療法カウンセリングセンター山口店
https://yamaguchi.cbt-mental.co.jp/
——筆者情報——
岡村優希
株式会社CBTメンタルサポート 代表取締役
認知行動療法カウンセリングセンター代表
公認心理師、臨床心理士、認定行動療法士
個人事業主として私設カウンセリングルームの運営を経て、株式会社CBTメンタルサポートを創業し、メンタルヘルス支援者向けのサービス事業を展開している。主宰しているオンラインコミュニティ『認知行動療法の学校』の会員数は約400名。
さらに、カウンセリングルームを全国に5店舗運営しており、全国展開を目指している。
◆執筆書籍
「臨床心理学 〈123(第21巻第3号)〉 問いからはじまる面接構造論 「枠」と「設定」へのまなざし」金剛出版
「遠隔心理支援スキルガイド」 誠信書房
◆テレビ出演
読売テレビ「かんさい情報ネットten.」2024年7月4日
「あなたの味方!お役に立ちます」のコーナーに高所恐怖克服のための専門家として出演
◆雑誌掲載
「からだにいいこと」 2022年12月号、2023年2月号
◆近年の講演実績
2024年2月21日
広島大学医学部にて「セルフケアに役立つ認知行動療法入門」についての講師
2023年2月9日
NTT PARAVITA株式会社にて「認知行動療法」をテーマとした社内研修の講師
2022年7月6日
筑波大学医学医療系精神医学の勉強会で「パニック症の認知行動療法」についての講師
その他、学会発表多数
一覧に戻る