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こんにちは、認知行動療法カウンセリングセンター山口店代表の岡村です。今回は、強迫症(強迫性障害:OCD)への認知行動療法(CBT)について詳しくお伝えします。強迫症は、繰り返し浮かぶ強迫的な考えや、それに対する行動(強迫行為)に悩まされる状態です。こうした症状は、日常生活に大きな負担を与え、放置することでさらに悪化することがあります。CBTは、強迫症に効果的なアプローチとして広く認識されており、強迫的な考えや行動を改善するための具体的な方法を提供します。

強迫症とは?

強迫症は、強迫観念(何度も繰り返し頭に浮かぶ不安や疑念)と、それに対抗するための強迫行為(不安を和らげるために繰り返し行う行動)から成り立っています。たとえば、「手が汚れているかもしれない」という不安が強迫観念となり、何度も手を洗わないと落ち着かないという行動が強迫行為として現れます。このような考えや行動は、短期的には不安を和らげるかもしれませんが、長期的には症状を悪化させる原因となります。

強迫症の主な症状

  1. 汚染に対する不安と過剰な清潔行為
    手が汚れている、病気に感染するかもしれないという恐怖が強く、何度も手を洗ったり、身の回りを消毒する行動が続きます。
  2. 確認行為
    ドアがきちんと閉まっているか、電化製品の電源がオフになっているかを何度も確認する行為が見られます。
  3. 秩序へのこだわり
    物を完璧に整えることに強い執着を持ち、少しでも乱れると不安やストレスを感じます。
  4. 暴力的または不道徳な考えに対する恐怖
    実際には行動に移すことはないが、頭の中で何度も不快なイメージや考えが浮かび、それを抑えようと強迫的な行動に駆られることがあります。

強迫症に対する認知行動療法(CBT)

強迫症に対するCBTは、強迫的な思考や行動を減少させ、健全な行動パターンを形成することを目指します。以下が主なアプローチです。

1. 曝露反応妨害法(ERP)

CBTの中でも、強迫症に最も効果的とされているのが**曝露反応妨害法(ERP)**です。この方法では、強迫観念に対する不安を意図的に引き起こし、強迫行為を抑える練習を行います。たとえば、手を洗いたいという衝動に対して、あえて手を洗わずにその不安と向き合うことを指導します。最初は強い不安が生じますが、時間が経つにつれ、不安が自然に和らぐ経験を重ねることで、強迫行為への依存を減少させます。

2. 認知再構成

強迫観念に関連する不合理な考え方を修正し、現実的かつ柔軟な思考を育てるために認知再構成が行われます。たとえば、「手を洗わないと重大な病気になる」という極端な考え方を、「手を洗わなくても安全である」という現実的な認識に変えるサポートを行います。

3. 不安管理のスキル

強迫症では、不安感が大きなトリガーとなります。そのため、不安管理のスキルを学ぶことが不可欠です。深呼吸、リラクゼーション法、マインドフルネスなどを活用し、強迫的な衝動が生じた際に冷静に対処できるようにサポートします。

4. 再発予防の計画

強迫症は、改善後も再発のリスクがあります。そこで、改善が進んだ後には、再発予防プランを立て、再発の兆候を察知したときに適切な対処法を準備することが重要です。再発しやすい状況やトリガーを特定し、それに対する対応策を具体的に策定しておくことで、症状の悪化を防ぎます。

家族や友人のサポート

強迫症の改善には、周囲のサポートが大きな役割を果たします。家族や友人が理解し、適切なサポートを提供することで、改善の効果が高まります。たとえば、強迫行為に対して無理に介入せず、自分で不安に立ち向かう時間を見守ることが大切です。周囲の協力が、回復への大きな支えとなります。

まとめ

強迫症は、日常生活に大きな影響を与える症状ですが、認知行動療法(CBT)を通じて改善することが可能です。ERPや認知再構成、不安管理スキルの習得により、症状のコントロールが期待できます。認知行動療法カウンセリングセンターでは、強迫症に対する認知行動療法を提供しております。強迫症に悩む方、ご家族の方は、ぜひ一度ご相談ください。

認知行動療法カウンセリングセンター山口店

https://yamaguchi.cbt-mental.co.jp/column/futoukou/

——筆者情報——

岡村優希

株式会社CBTメンタルサポート 代表取締役

認知行動療法カウンセリングセンター代表

公認心理師、臨床心理士、認定行動療法士

個人事業主として私設カウンセリングルームの運営を経て、株式会社CBTメンタルサポートを創業し、メンタルヘルス支援者向けのサービス事業を展開している。主宰しているオンラインコミュニティ『認知行動療法の学校』の会員数は約400名。

さらに、カウンセリングルームを全国に5店舗運営しており、全国展開を目指している。

◆執筆書籍

「臨床心理学 〈123(第21巻第3号)〉 問いからはじまる面接構造論 「枠」と「設定」へのまなざし」金剛出版

「遠隔心理支援スキルガイド」 誠信書房

◆テレビ出演

読売テレビ「かんさい情報ネットten.」2024年7月4日

「あなたの味方!お役に立ちます」のコーナーに高所恐怖克服のための専門家として出演

◆雑誌掲載

「からだにいいこと」 2022年12月号、2023年2月号

◆近年の講演実績

2024年2月21日

広島大学医学部にて「セルフケアに役立つ認知行動療法入門」についての講師

2023年2月9日

NTT PARAVITA株式会社にて「認知行動療法」をテーマとした社内研修の講師

2022年7月6日

筑波大学医学医療系精神医学の勉強会で「パニック症の認知行動療法」についての講師

その他、学会発表多数

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