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こんにちは、認知行動療法カウンセリングセンター山口店の代表、岡村です。私は臨床心理師・公認心理師として、心の悩みを抱える方々に対してメンタルケアを行っており、認知行動療法(CBT)を専門としたカウンセリングルームを運営しています。このブログでは、心の問題に関する理解と改善法についてお伝えしていきます。今回は、恐怖症に焦点を当て、その理解と対処法についてお話しします。

恐怖症とは?

恐怖症とは、特定の対象や状況に対して過剰な恐怖感を抱き、それが日常生活に支障をきたす状態を指します。たとえば、雷が怖い「雷恐怖症」、高い場所が苦手な「高所恐怖症」、人との関わりを恐れる「対人恐怖症」など、さまざまな種類があります。これらの恐怖症は、対象が異なるだけで、根底にあるのは強い恐怖心とそれに伴う身体的な反応です。

恐怖症は、何かしらの過去の体験や、他人からの影響によって引き起こされることが多いです。たとえば、子どもの頃に高いところから落ちた経験がある人は、高い場所に近づくと手足が震えるといった恐怖を感じるようになることがあります。また、実際に体験していなくても、他人の体験を聞いたり見たりするだけで、強い恐怖を覚えることもあります。

恐怖症はどのくらいの人が経験する?

恐怖症は意外に身近な問題であり、1年間で約3%の人が経験すると言われています。一生のうちに一度は恐怖症を抱える人の割合はさらに多く、身近な心の困りごとといえるでしょう。特定の状況や物に対する恐怖感が強すぎて、日常生活に支障が出る場合、それが恐怖症として分類されます。

恐怖症が体に及ぼす影響

恐怖症が発生すると、体は恐怖に対して自然な反応を示します。心臓がドキドキし、汗をかき、手足が震えるなど、さまざまな身体的な反応が現れます。これらの反応は、体が危険を感じているサインです。恐怖を感じると、脳が「危険だ」と判断し、体に「避けろ」という指示を出すため、こうした反応が生じます。

実は、こうした反応自体は体が危険から身を守るための自然な防御反応です。しかし、恐怖症の場合は、本来そこまで恐れる必要がない状況や対象に対しても、過剰に反応してしまうことがあります。これによって、対象を避け続けることで恐怖感が強化されてしまい、恐怖症が悪化することがあります。

例えば、高所恐怖症の人は、最初は高い建物の上に立つことが怖いと感じるだけだったのが、次第にエレベーターに乗ることすら避けるようになり、日常生活に大きな制約が生まれることがあります。また、対人恐怖症の人は、特定の人と話すことが苦手だったのが、徐々にあらゆる人との接触を恐れるようになり、社会生活が困難になることもあります。

恐怖症の改善方法:認知行動療法(CBT)

では、恐怖症をどのように改善すればよいのでしょうか? その解決策として有効なのが、認知行動療法(CBT)です。CBTでは、恐怖を引き起こす状況に対してあえて向き合い、その恐怖が本当に正当なものかどうかを確認する「エクスポージャー」という手法が用いられます。

エクスポージャーは、恐怖を感じる対象にあえて近づき、その恐怖感が徐々に薄れていくことを目指す方法です。例えば、高所恐怖症の人があえて高い場所に行くことで、最初は心臓がドキドキしたり手足が震えたりするものの、その場に留まることで「実際には危険ではない」と体が認識し、恐怖感が徐々に和らいでいきます。

重要なのは、エクスポージャーを段階的に行うことです。一気に恐怖の対象に向き合うのではなく、まずは恐怖を感じるレベルの低いものから少しずつ挑戦していくのです。たとえば、対人恐怖症の人であれば、最初は少人数の友人と話す練習をし、その後、徐々により多くの人との交流に挑戦するという形で進めます。

エクスポージャーの進め方

カウンセリングの現場では、恐怖を段階的に克服するために「恐怖リスト」を作成します。このリストには、恐怖を感じる状況を難易度順に並べ、簡単なものから順に挑戦していきます。最初は、恐怖感が弱い状況から始め、徐々に難易度を上げていくことで、少しずつ恐怖症を克服していきます。

この方法は効果的で、多くの恐怖症の方が改善を実感しています。先日、私は関西のテレビ局で高所恐怖症の方への改善方法を紹介し、エクスポージャーによる改善の様子をお伝えしました。恐怖症は一人で克服するには勇気が必要で、非常に難しいこともありますが、適切な方法とサポートがあれば、改善は可能です。

恐怖症に悩んでいる方へ

もし恐怖症に悩んでいる方がいれば、ぜひ専門家に相談してみてください。恐怖症は適切なアプローチで改善できるものです。認知行動療法を取り入れたカウンセリングや医療機関でのアプローチは、恐怖症の克服に大変効果的です。

恐怖症に限らず、心の困りごとは一人で抱え込まず、周囲や専門家の力を借りることが重要です。このブログが、少しでも恐怖症についての理解を深め、改善の一歩を踏み出す助けになれば幸いです。

ご相談や質問があれば、お気軽にお近くのカウンセリングルームや医療機関にお問い合わせください。認知行動療法カウンセリングセンターでも、ご相談をお待ちしております。

認知行動療法カウンセリングセンター山口店

https://yamaguchi.cbt-mental.co.jp/

——筆者情報——

岡村優希

株式会社CBTメンタルサポート 代表取締役

認知行動療法カウンセリングセンター代表

公認心理師、臨床心理士、認定行動療法士

個人事業主として私設カウンセリングルームの運営を経て、株式会社CBTメンタルサポートを創業し、メンタルヘルス支援者向けのサービス事業を展開している。主宰しているオンラインコミュニティ『認知行動療法の学校』の会員数は約400名。

さらに、カウンセリングルームを全国に5店舗運営しており、全国展開を目指している。

◆執筆書籍

「臨床心理学 〈123(第21巻第3号)〉 問いからはじまる面接構造論 「枠」と「設定」へのまなざし」金剛出版

「遠隔心理支援スキルガイド」 誠信書房

◆テレビ出演

読売テレビ「かんさい情報ネットten.」2024年7月4日

「あなたの味方!お役に立ちます」のコーナーに高所恐怖克服のための専門家として出演

◆雑誌掲載

「からだにいいこと」 2022年12月号、2023年2月号

◆近年の講演実績

2024年2月21日

広島大学医学部にて「セルフケアに役立つ認知行動療法入門」についての講師

2023年2月9日

NTT PARAVITA株式会社にて「認知行動療法」をテーマとした社内研修の講師

2022年7月6日

筑波大学医学医療系精神医学の勉強会で「パニック症の認知行動療法」についての講師

その他、学会発表多数

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