2025年09月14日
- 認知行動療法
山口で場面緘黙改善のカウンセリング

こんにちは。認知行動療法カウンセリングセンター山口店です。
「家では普通に話せるのに、学校や人前では声が出ない」──このような状態が続いている場合、それは**場面緘黙(ばめんかんもく)**と呼ばれる状態かもしれません。
子どもに多く見られますが、大人になっても影響が残ることがあり、「恥ずかしがり屋」や「内気」と混同されやすいものです。しかし、本人が「話したくない」のではなく、「話したいのに話せない」という点が大きな特徴です。
本記事では、山口で場面緘黙に悩む方やそのご家族に向けて、症状の特徴、接し方の工夫、そして認知行動療法を用いたカウンセリングの方法をご紹介します。
1. 場面緘黙とは?
場面緘黙は、特定の場面で声が出なくなる状態を指します。典型的には、家庭では家族と会話できるのに、学校や公共の場では話せなくなるケースです。
この状態は主に幼児期や学童期に現れ、学校での授業参加や友人関係に影響を及ぼします。本人は黙っている間も強い緊張を感じており、表情や動きまで硬くなることもあります。そのため「性格の問題」と誤解されやすいのですが、環境と適切な支援によって改善が期待できる状態です。
2. 場面緘黙の主な特徴
場面緘黙の子どもに見られる典型的なサインには、次のようなものがあります。
- 家では話せるが、学校では話せない
- 親しい友人とは話せるが、先生やその他の子どもには話せない
- 声を出さないだけでなく、表情や身振りも固まる
- 質問されると極度に緊張する
- 自分から話しかけることがほとんどない
また、学校では声が出せない一方、公園やオンライン上では比較的自然に話せるなど、「場面による差」が明確に出るのも特徴です。このため「恥ずかしがり屋なだけ」と見過ごされやすいのです。
3. 関わり方の工夫
◎ 話すことを強制しない
「なぜ話さないの?」と問い詰めるのではなく、うなずきや視線、ちょっとした仕草など、声以外の反応も尊重することが必要です。まずは「声が出なくても理解してもらえる」という安心感を持てるようにしてあげることが、次のステップにつながります。
◎ 安心できる場を作る
信頼できる相手や落ち着ける環境であれば、徐々に声が出やすくなります。表情やしぐさで反応できる場面を増やすことから始めましょう。
◎ 小さな成功体験を積む
「人前で声を出せた」「うなずけた」「友達と一言交わせた」といった小さな体験を積み重ねることが改善の鍵です。話す以外の行動も肯定的に受け止めることが大切です。
4. 認知行動療法によるアプローチ
場面緘黙に対する有効な心理的支援のひとつが**認知行動療法(CBT)**です。
◎ 状況の整理
- 家では話せるが、学校では話せない
- 親と一緒なら屋外でも話せる
- 信頼できる友人とは小声で話せるが、先生には話せない
このように「話せる場面・話せない場面」を具体的に区分し、支援の方向性を明確にします。
◎ 話しやすい条件を探る
「人が少ない場なら話せる」「信頼できる人がそばにいれば安心」など、条件を整理することで一歩先のチャレンジが見えてきます。
◎ 考え方や気持ちのパターンを把握する
- 「話さなきゃ」と思うと緊張する
- 「変に思われるかも」と不安になる
- 「黙っているほうが楽」と感じる
こうした内面の整理が、適切な支援につながります。
5. 刺激フェーディング法とは?
刺激フェーディング法とは、「話せる場面」から少しずつ環境を変えていき、声を出せる範囲を広げる方法です。
ステップのイメージ
- 安心できる場所から始める
例:自宅で家族と会話する。 - 人や場面を少し加える
例:家族だけでなく、仲の良い友だちを一緒に加えて話す。 - 新しい環境に挑戦する
例:学校の昇降口や廊下で小さな声を出してみる。 - 徐々に広げる
例:先生に返事をする → 教室で一言話す → 数人の前で短い発表をする。
ジェスチャーや筆談の活用と注意点
声が出にくいときにジェスチャーや筆談は有効な補助手段になります。気持ちを伝えられる安心感は大切です。ただし、長く頼り続けると「声を出さなくても済む状態」が固定化する恐れもあります。
そのため、ジェスチャーや筆談は一時的な橋渡しとして活用し、仕草 → 小声 → 普通の声という流れで少しずつ発話に移していくことが重要です。
6. 曝露法(エクスポージャー)
曝露法とは、不安や恐怖を感じる場面に少しずつ直面し、慣れていくことで不安を和らげる方法です。不安症に対して有効性が認められており、場面緘黙でも活用されます。
基本の考え方
- 不安な場面を避け続けると、恐怖心が強まってしまう
- 不安を感じる状況にあえて段階的に触れることで、「意外と大丈夫」という経験を積み、不安を弱めていく
曝露の進め方(例)
- 安心できる小さな挑戦から
例:自宅のリビングで、家族に「ありがとう」と声を出す。 - 少し緊張する場面へ
例:近所の公園で親と一緒に小声であいさつをする。 - 新しい相手や場所に挑戦
例:学校の図書室で友だちに「これ貸して」と声をかける。 - 学校生活に広げる
例:給食の配膳で「どうぞ」と言う。 - 大きな不安への挑戦
例:教室の朝の会で先生に返事をする、グループ活動で「お願いします」と発言する。
曝露法の効果
- 「声を出せた」という経験を積み重ねることで、恐怖や不安が和らいでいく
- 不安を完全に消すのではなく、「不安があっても声を出せる」状態を目指す
- 早期に支援につながるほど改善しやすいとされています
刺激フェーディング法との違い
- 刺激フェーディング法:話しやすい条件を少しずつ変えて「声を出せる場面」を広げる
- 曝露法:不安を感じる状況に少しずつ慣れて「恐怖をやわらげる」
両者を組み合わせることで、声の練習と不安への慣れをバランスよく進められます。
7. 相談できる場所
場面緘黙は自然に改善するケースもありますが、長引く場合は専門的な支援が望まれます。
- 学校の相談窓口:担任やスクールカウンセラー、養護教諭に相談できます。
- 専門のカウンセリングルーム:認知行動療法を取り入れたカウンセリングで、本人の気持ちを整理しながら段階的な練習を進めます。
山口で場面緘黙のことでお困りの方は、ぜひ当センターにご相談ください。
まとめ
場面緘黙は、本人が「話したくない」からではなく、「話せない」状態です。周囲が焦らず、安心できる環境を作り、小さな成功を積み重ねることが改善の第一歩です。
山口で場面緘黙に関するカウンセリングをお探しの方は、認知行動療法カウンセリングセンター山口店にご相談ください。
📍 認知行動療法カウンセリングセンター山口店
住所:〒753-0055 山口県山口市今井町4-10 山根ビル201号室
アクセス:JR湯田温泉駅 徒歩1分
営業時間:10:00〜20:00(完全予約制)
LINE:https://lin.ee/26sKHRK8
予約フォーム:https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSelm3nMBwOyvwnkhrkihe-APBzNTll2NL4fsPB6b6hHMzC8GA/viewform
Webサイト:https://yamaguchi.cbt-mental.co.jp/
よくあるご質問(Q&A)
Q1. 場面緘黙は自然に治ることはありますか?
A1. 成長とともに改善するケースもありますが、放置すると対人関係や学習に影響が残ることもあります。専門的な支援を受けることで、改善のスピードが早まります。
Q2. カウンセリングは子どもだけが受けるのですか?
A2. ご家族へのサポートも重要です。ご家庭での関わり方や学校との連携方法についても一緒に考えていきます。
Q3. どのくらいの期間で効果が出ますか?
A3. 個人差がありますが、数ヶ月で小さな変化が見えることもあります。段階的に進めるため、焦らず継続して取り組むことが大切です。