2024年10月10日
- 認知行動療法
嘔吐恐怖とは?カウンセリング(認知行動療法)による改善方法について詳しく解説
こんにちは、認知行動療法カウンセリングセンター山口店です。今回は、多くの方が日常生活で苦しんでいる心の問題、「嘔吐恐怖」について詳しくご紹介します。嘔吐恐怖は、日常生活に大きな影響を与える恐怖症の一つですが、適切な対処法とサポートを受けることで克服することが可能です。この記事では、嘔吐恐怖の種類や症状、対処法、そして認知行動療法を用いたカウンセリングがどのように役立つかについて、具体的に解説していきます。
嘔吐恐怖とは?
嘔吐恐怖(Emetophobia)は、嘔吐そのもの、もしくは嘔吐に関連する状況に対して強い恐怖を抱く状態です。この恐怖症は日常生活に大きな制限をかけることが多く、仕事やプライベートの場面で支障が出ることもあります。特に、食事や外出、公共の場での活動に影響が及び、嘔吐に対する過度な恐怖がストレスや不安を増幅させてしまうことが特徴です。
嘔吐恐怖には、以下の2つのタイプがあります。
1. 自分が嘔吐することへの恐怖
このタイプは、嘔吐そのものや、嘔吐の可能性がある状況に対する恐怖を強く感じるものです。例えば、食べ過ぎや車酔い、体調不良などで吐き気を感じると、それが嘔吐につながるのではないかと強い不安を抱きます。この不安感から、外出を避けたり、食事量を減らしたりといった行動が見られ、結果的に生活の質が低下することがあります。さらに、飲み会や外食の場面では、他人と食事を共にすることに不安を感じ、社会的な孤立に繋がるケースも少なくありません。
2. 他人が嘔吐する様子に対する恐怖
もう一つのタイプは、他人が嘔吐する場面や、嘔吐の可能性がある環境に対して恐怖を感じるものです。例えば、居酒屋やパーティー、映画やテレビで嘔吐シーンが出るだけで強い不安を抱くことがあります。このような恐怖を避けるために、嘔吐の可能性がある場所やシチュエーションを徹底的に回避する傾向があり、結果的に日常生活に支障をきたすことが多いです。
嘔吐恐怖による影響
嘔吐恐怖を持つ人は、恐怖を感じると身体的・心理的な反応を引き起こします。典型的な症状として、以下のような反応が見られます。
- 心臓の鼓動が早くなる
- 体が震える
- 息が苦しくなる
- 汗をかく
- 吐き気そのものに対するパニック発作
このような身体的な症状に加え、精神的には強い不安感や恐怖心が募り、それを避けようとするあまり、生活の幅が狭くなっていきます。例えば、食事を極端に制限したり、公共交通機関を避けたりすることがあり、結果として社会生活に大きな影響を与えることになります。
さらに、恐怖を避けようとすればするほど、逆に恐怖が強まるという悪循環が生まれやすくなります。これは、「恐怖の回避」が習慣化することにより、恐怖を増幅させてしまうためです。避け続けることで、嘔吐に対する恐怖感が強まり、日常生活でできないことが増えていくという状況が生まれてしまうのです。
認知行動療法による嘔吐恐怖の改善法
嘔吐恐怖に対する改善法として、**認知行動療法(CBT)**が非常に有効であることが知られています。認知行動療法では、まずクライエントがどのような状況で嘔吐恐怖を感じるのか、またそれに対してどのように対処しているのかを明確にしていきます。そして、その恐怖に対処するための具体的な方法を実践しながら、少しずつ恐怖を克服していくプロセスを進めます。
曝露療法
認知行動療法の一環として、曝露療法が嘔吐恐怖に効果的です。曝露療法では、クライエントが避けたいと感じる嘔吐に関連する状況に、少しずつ接触していくことで恐怖を克服します。例えば、以下のような手法を用います。
- 言葉への曝露: 嘔吐という言葉自体に恐怖を感じる場合、最初は遠くから「嘔吐」という言葉を見てもらい、少しずつその言葉を近づけていきます。これにより、言葉そのものに対する恐怖を段階的に軽減していきます。
- 体感的な曝露: 自分が嘔吐する感覚に恐怖を感じる場合、あえて少し多く食事を摂ったり、椅子に座って軽く回転して吐き気を感じさせたりする体験を繰り返します。こうした手法を通じて、恐怖の感覚に徐々に慣れていくことが目指されます。
認知再構成
また、認知行動療法では認知再構成も用いられます。これは、クライエントが持つ恐怖に対する認識を整理し、その中で恐怖を引き起こしている思考パターンに気づき、それを修正していくアプローチです。例えば、「嘔吐したら恥ずかしい」「嘔吐すると他人に迷惑をかけてしまう」という考えがあれば、それに対して実際にどれだけの確率で起こるのかを現実的に評価し、恐怖を和らげるための新たな認識を構築します。
動画や音声を用いたアプローチ
他人が嘔吐する状況に対する恐怖に関しては、YouTubeなどで少しずつ嘔吐に関連する動画を視聴し、徐々に恐怖に慣れるアプローチが効果的です。最初は音を消して遠くから視聴し、徐々に距離を縮めていくことで恐怖を和らげていく段階的な方法が取られます。
嘔吐恐怖克服のためのサポート
嘔吐恐怖を克服するためには、適切な改善法を実践することが重要ですが、自己流で行うと逆に不安が増してしまうことがあります。そのため、専門的なサポートを受けることが不可欠です。
認知行動療法カウンセリングセンター山口店では、嘔吐恐怖に対する専門的なカウンセリングを提供しています。クライエント一人ひとりに合わせた個別のプログラムを作成し、無理のないペースで恐怖を克服していくお手伝いをしています。
嘔吐恐怖で悩んでいる方は、ぜひ一度ご相談ください。当センターでは、豊富な経験を持つカウンセラーが、あなたが日常生活を取り戻すためのサポートを行います。まずは無料相談もございます。是非ご連絡をお待ちしております。
認知行動療法カウンセリングセンター山口店
https://yamaguchi.cbt-mental.co.jp/
——筆者情報——
岡村優希
株式会社CBTメンタルサポート 代表取締役
認知行動療法カウンセリングセンター代表
公認心理師、臨床心理士、認定行動療法士
個人事業主として私設カウンセリングルームの運営を経て、株式会社CBTメンタルサポートを創業し、メンタルヘルス支援者向けのサービス事業を展開している。主宰しているオンラインコミュニティ『認知行動療法の学校』の会員数は約400名。
さらに、カウンセリングルームを全国に5店舗運営しており、全国展開を目指している。
◆執筆書籍
「臨床心理学 〈123(第21巻第3号)〉 問いからはじまる面接構造論 「枠」と「設定」へのまなざし」金剛出版
「遠隔心理支援スキルガイド」 誠信書房
◆テレビ出演
読売テレビ「かんさい情報ネットten.」2024年7月4日
「あなたの味方!お役に立ちます」のコーナーに高所恐怖克服のための専門家として出演
◆雑誌掲載
「からだにいいこと」 2022年12月号、2023年2月号
◆近年の講演実績
2024年2月21日
広島大学医学部にて「セルフケアに役立つ認知行動療法入門」についての講師
2023年2月9日
NTT PARAVITA株式会社にて「認知行動療法」をテーマとした社内研修の講師
2022年7月6日
筑波大学医学医療系精神医学の勉強会で「パニック症の認知行動療法」についての講師
その他、学会発表多数
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