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「嘔吐が怖い」と言えないままの毎日に、そっと気づくまなざしを

こんにちは。認知行動療法カウンセリングセンター山口店です。

嘔吐恐怖(エメトフォビア)という言葉は、まだ多くの人にとってなじみの薄い言葉かもしれません。
しかし私たちは、日々の臨床のなかで、こうした不安がご本人の生活やご家族との関係に深く影響を与えていることを感じています。

今回のブログでは、「どう関わればいいのか分からない」「家族としてできることは?」と悩むご家族に向けて、
“問いかけるより、見守る”ことの意味、そして“一緒に悩む”ことの大切さについてお伝えします。


「体調を気にする」ことが、本人にとって“普通”になっている場合もあります

嘔吐恐怖のご本人は、「いつ吐くか分からない」「少しでも気持ち悪くなったらどうしよう」という不安を日々感じながら生活しています。

こうした思考は、第三者から見ると“考えすぎ”に見えるかもしれません。
しかし本人にとっては、それが「生きるために必要な行動」として根づいているのです。

大切なのは、“過剰に心配しているように見える”行動の背景には、長い時間をかけて染みついた不安があるという理解です。


「励ます」「安心させる」よりも、“一緒に悩んでくれる存在”が心強いこともあります

ご家族の方が、
「大丈夫だよ」「吐かないって思えば平気だよ」と励ましたくなるのは自然なことです。

ですが、嘔吐恐怖の場合、「大丈夫」という言葉が届かないことがあるのです。
それは、理屈ではなく身体の感覚として「怖い」が勝ってしまうから。

そんなときに求められるのは、
「気の持ちようだ」と説得する人ではなく、迷いの中に“いてくれる”人です。

そんな人の存在が、本人の「回復したい」「一歩進んでみたい」という気持ちを静かに支えていきます。


家族の「やってあげたい」気持ちが、時にプレッシャーになることもあります

嘔吐恐怖のご本人は、自分でも「迷惑をかけているのでは」「心配をかけてしまっているのでは」と気にしていることが多いです。

そのため、

といった言葉が、無意識に「期待に応えなきゃ」というプレッシャーになってしまうこともあります。

もちろん、関わり方に「正解」はありません。

でも、“本人のペース”を尊重するまなざしがあるとき、その関係性自体が「安全基地」になることが多いのです。


支援のポイント:ご家族が「気にしすぎない」ことも大切

ご家族にとって、何かに悩んでいる姿を見るのはつらいものです。

けれど、**支援のカギは“本人以上に不安にならないこと”**です。

ご家族が落ち着いていることで、本人も「今は大丈夫かもしれない」と思えることがあります。
それは、「良い意味での無関心」──つまり**“信頼しているからこその見守り”**です。


ご家族だけの相談も受け付けています

「本人が嫌がっていて、相談に連れていけない」
「本人に気づかれないようにアドバイスが欲しい」
「家族としてどう支えていいか分からない」

そんなご相談が、実際によく寄せられます。

認知行動療法カウンセリングセンター山口店では、ご本人が同席していなくても、まずはご家族の悩みを伺うことが可能です。

ご相談の内容は、もちろん秘密厳守で対応いたします。
「相談することで、自分の支え方を整理できた」「本人に優しく向き合えるようになった」という声もいただいております。


よくあるご質問(Q&A)

Q1. 医療機関に行った方が良いか悩んでいます。相談だけでも可能ですか?
→ はい。必ずしも医療や薬の話になるわけではありません。ご家族の不安の整理や日常対応の工夫からお手伝いできます。

Q2. 相談したことを本人に知られてしまうのではと不安です。
→ ご安心ください。ご本人の許可がない限り、相談内容を共有することはありません。

Q3. オンライン相談は可能ですか?
→ はい、全国どこからでもオンラインでのご相談が可能です。顔出しなし・声だけのやり取りにも対応しております。


おわりに

「どうしてあげればよいのか分からない」
その気持ちは、支えたいと思っている証拠です。

嘔吐恐怖は、見た目には分かりにくい苦しさを持ちます。
だからこそ、ご家族が“見えない不安”を感じ取っていること自体が、すでに大きな支援なのです。

不安を抱える人にとって、「話してもいいかな」と思える家族の存在は、回復への第一歩になります。
私たちは、そうした関係づくりをそっと支える場所でありたいと思っています。

ご本人のこと、ご自身のこと──
どちらでも構いません。お気軽にご相談ください。


認知行動療法カウンセリングセンター山口店

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